01

Special
Contents

人がつながる。
想いを繋げる。

生活障害共済「働くわたしのささエール」。
身体の障害によって働けなくなったときに備える
新しい仕組みが2018年4月にリリースされた。
この仕組みがどのように誕生したのか、
仕組開発部門と普及推進部門の中心となった2人の
新たな挑戦を追った。

全国本部
開発部 生命開発グループ

秋山 卓也
(2009年入会)

組合員・利用者にとって最も必要な保障の形を追求・実現することが仕組開発部門の役割。仕組開発部門・秋山は、「ひと」保障における新しい仕組みの開発を担当している。社会環境動向等の分析や、組合員・利用者が共済に求めるニーズ調査から始まり、具体的な仕組みの企画・設計、作り上げた仕組みを規定として落とし込む共済約款の作成、そして、農林水産省への行政手続きを経て、新たな仕組みを世の中に送り出している。

全国本部
普及部 普及企画グループ

北村 直也
(2009年入会)

一人でも多くの組合員・利用者の暮らしを守るべく、JA共済の保障を日本中に広めることが普及推進部門の役割。普及推進部門・北村は、全国的な普及推進の方針策定を担っている。「ひと・いえ・くるま」のそれぞれの保障を“誰に、何を、どのように”提供するのかを考え、各地域に向けた普及推進施策を実行するためのツールやマニュアルの作成などを通して、最前線で活躍するライフアドバイザー(LA)の普及推進活動を支援している。

社会情勢を睨みながら、
仕組みの骨格作りに着手。

仕組開発部門では、社会環境の動向に伴う市場ニーズの変化や組合員・利用者の保障ニーズの変化を的確に把握するため、内外の環境分析や組合員・利用者へのニーズ調査を行っている。今回、分析・調査を進めるなかで組合員・利用者にとって必要性が高いと考えたのが、「身体の障害で働けなくなったときに備える保障」であった。身体障害を負って今までどおり働けなくなった場合、国の社会保障制度から「障害年金」等が支給されるものの、生活を維持するためには支給額が不十分なケースが多い。その補完機能を果たす保障を提供することで、組合員・利用者の生活を守っていく必要があると考えた。また、この保障は推進現場を知り尽くす普及推進部門からも新設を求める意見が挙がっていた。このような社会的ニーズや現場の声に応えるべく、新たな仕組みの開発は始まった。

働けなくなった時の保障を。
現場から寄せられたニーズ。

普及推進部門には、組合員・利用者の窓口となる全国のLAや都道府県本部から、JA共済の保障に対する様々な現場のニーズが寄せられる。その一つとして、JA共済が提供している保障の中でも未保障の分野であった「身体の障害で働けなくなったときに備える保障」を求める意見が数多く寄せられていた。このように推進現場の意見を吸い上げ、仕組開発部門へ要望として伝え、協議を進めることも普及推進部門の役目だ。折しも仕組開発部門でも、この保障分野の社会的ニーズを汲み取っていたことから仕組開発の協議はすぐにスタートした。北村は早速、どのくらいの加入者が見込まれるのか、どのようなニーズが具体的に存在するのか、様々な情報を収集・分析しながら全国的な普及推進方針の計画を立て始めた。

それぞれの部門の目線から、
仕組みをブラッシュアップ。

新しい仕組みの検討を進めるうえで秋山が特に重視したのは、「幅広い身体障害状態をカバーできる保障の提供」だった。JA共済の組合員・利用者は、働くうえで身体が何よりの資本となる農業者が多いため、軽度の障害でも経営への影響が大きいからだ。秋山は出来上がった仕組みの骨格を携えて、北村との協議に臨んだ。議論のなかで北村が目を付けたのは「加入しやすい共済掛金の水準」。保障を手厚くすることで共済掛金の負担が大きくなれば、加入に対するハードルが上がり、そもそも敬遠されてしまう恐れがある。普及推進部門ならではの「加入者目線」の意見を踏まえ、秋山は「どのような仕組みであれば本当にお役立ちできるか?」を自問自答しながら具体的な仕組みの設計を進めていった。

共通した使命があるからこそ、
部門を越えた議論が交わされる。

もう一点、秋山と北村が時間を割いて行った議論は、組合員・利用者に「保障の必要性をどのように理解いただくか」であった。保障内容が充実していたとしても、その保障の必要性を理解いただけなければ安心をお届けできない。そのため、身体障害を負ってしまうという日常では想起しにくい状態を、組合員・利用者に自分事化してもらうためのアイデアを出し合った。そして、身体障害を負った時に発生するリスクや、働けなくなった場合に減少する収入額などを順序立てて伝えることで、潜在的なニーズを喚起するためのストーリーを組み立てていった。
仕組開発部門と普及推進部門では当然与えられた役割が異なる。しかし、秋山と北村はそれぞれの部門を越えて議論を重ねた。それは、組合員・利用者の人生を支えたいという「想い」を共通して持っているからこそ生まれたものであった。

様々な部門と連携しながら
共済を形作っていく。

新たな仕組みは、「共済契約の引受け」「加入中の契約管理」「共済金の支払い」など、あらゆる場面を想定して作っていかなければならない。そのため、協力が必要となる関係者は多岐に渡る。秋山は普及推進部門だけでなく、引受審査部門や支払査定部門、事務・システム部門など、様々な部門の担当者と協議・調整を重ね、知恵を出し合うことで新たな仕組みをより良いものに仕上げていった。仕組みの全容が固まったところで、秋山は共済契約の内容に関する取り決めを記載する共済約款の作成、約款内容の法的側面からの検証、さらに、監督省庁である農林水産省から承認を得るための行政手続きを進めていった。

一人でも多くの人に
想いを届けるために。

北村は、新しい仕組みの全国的な普及推進の方針策定を進めるとともに、推進現場で必要となるツールやマニュアルの作成に取りかかった。これまでにない新たな仕組みを全国にリリースすることから、全国約2万人のLAの普及推進活動を様々な角度からサポートすることが求められた。そのため、身体の障害で就労不能になったときに国の社会保障制度から得られる給付額の試算等ができるツールや、新しい仕組みの必要性を伝えるチラシや動画、組合員・利用者への説明方法を記載したマニュアルなどを作成し、4月のリリースに向けて、新たな仕組みを日本中に広めていくための準備を着々と整えていった。

2018年4月1日、
生活障害共済
「働くわたしのささエール」誕生。

共済事業の根幹を担う
仕組開発の2つの使命。

仕組開発を担っている秋山の使命は2つあると言う。「一つが、組合員・利用者が安心して生活を送ることができる仕組みを作ること。そして、もう一つが、JA共済が安定的・永続的に保障提供し続けられる仕組みを作ることです。業界に先駆けた仕組みをリリースすることが私たちの目的ではありません。JA共済はあくまでも組合員・利用者の助け合いのための“仕組み”を提供する組織。組合員・利用者が抱える不安や問題を解決するためのお手伝いをしているのが私たちなのです」。この意識を常に持ち、秋山はこれからも組合員・利用者の想いに応える新たな仕組みの開発に挑戦していく。

現場目線を常に持ちながら、
助け合いの輪を全国に広める。

一人でも多くの組合員・利用者に共済の必要性を感じてもらうためには、現場目線を常に持ち続けることが必要だと北村は言う。「最前線にいるLAが、日々どのように考えながら活動しているか。全国本部の普及部にいる一員として、その現場目線を最も大切にしています。社会情勢は凄いスピードで変化しており、時代に合わせた新たな普及推進の施策が求められています。これまでの固定概念に捉われず、常にアンテナを高く張り巡らせることで、より多くの組合員・利用者に安心と満足をお届けすることが我々の使命です」。JA共済の「助け合いの輪」を広めていくために、全国的な普及推進を担う北村の挑戦はまだまだ続く。

ページトップへ戻る